今、「しあわせの理由」の技術が必要だと思うわけ
昨日はメンタルの波形がなかなか面白いことになっていました。
起床後:それなりにすっきり目覚め、会社へ行く。
午前中:ヒドイ落ち込み。眠い、疲れた、今すぐにでも帰りたい。布団に倒れこみたい。
これやったら帰る、これ終わったら帰る、と青息吐息で一つ一つ、
仕事を片付ける。
昼食後:じわじわと浮上。
定時頃:ノリノリでリタイア後の資産のシミュレーションを作る。
帰宅後:謎の幸福感に包まれつつ、アップルとIBMの株を買い込む。
メンタルのお薬が変な作用をしてるんでしょうか。
自分でもちょっと危ない人だと思います。
幸せってナンだっけ?○○があればいい?!
「しあわせの理由」
という物語があります。SF作家グレッグ・イーガンの作品です。
リンクが上手く貼れないので、興味を持った方はぐぐってご覧ください。
こちらはアマゾンでの紹介文の一部です。
12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった。脳内の化学物質によって感情を左右される意味を探究する表題作
(↓ネタバレ入りあらすじ。念のため隠しますのでネタバレ気にしない方は反転して読んでください)
いつも多幸感に包まれている少年がいました。
その原因は脳腫瘍。
手術して取り除いたら、超のつく欝状態に。
そこで脳に人工の神経細胞を埋め込んでもらい、感情のコントロールができるようにしてもらいます。
そして彼は、いつでも幸せになれるし、いつでも不幸にもなれるようになりました。
要するに、幸不幸なんて、科学的に言えば脳内物質の出方、出し方一つで切り替えられるものなんだよー、というお話です。
エンドルフィンって聞いたことあるでしょうか。
脳内麻薬とも呼ばれ、モルヒネと同じような、しかもとても効果の高い鎮痛鎮静作用を持ち、穏やかで幸せな気分にさせ、免疫力を高める等の働きがあるそうです。
どうやら、美味しいものを食べたり楽しい気分になったり、逆にものすごいストレスをかけられたりすると出るものらしいです。後者はいわゆるランナーズハイですね。
この(他にもありますが)「幸せ脳内物質」の出方一つで、
幸せな気分は左右されちゃうわけです。
これ、自在にできたらすごいだろうなあ。
お金は衣食住に困らないだけあればいい。
住まいは雨風をしのぎ防音防犯がちゃんとしてればいい。
食事は栄養がちゃんと取れてカロリーが十分であればいい。
服は清潔で暑さ寒さに対応できればいい。
つまり、モノでの贅沢が要らなくなる。
精神的な贅沢を自在にできるわけだから。
環境に過剰な負荷をかけることもない。
過剰にモノを欲しがることもなく、
足りない人とは分け合うことができる。
「持続可能な社会」が実現しやすくなるわけです。
犯罪まがいのことをして大金を儲けなくても満足できるようになるし、
変な見栄を張ったり人と競争しなくてもよくなるし、
究極的には死ぬことだって、怖くなくなるでしょう。
(実際に、人の死の直前にはエンドルフィンが大量に放出されるそうです。)
世界中で、環境破壊が大きな問題になり、格差社会の拡大が懸念され、
モラルハザードが深刻さを増している今。
そして超高齢化・少子化社会、多死社会をむかえる日本。
脳内麻薬エンドルフィン等を操る技術の研究は急務だと思うんですが、どうでしょうか?
(半マジ)
自由意志で選ぶ、モノに頼らない幸福ということ
脳内物質の操作は、既に一部、メンタルの薬で実現されているともいえます。
※幸福感、自己肯定感などに関わる脳内物質の不足が引き起こすメンタルトラブルには、そうした物質の取り込みを阻害する働きをする薬が使われるので。
じゃあ、皆でお薬飲んでハッピーになればすべて解決かと言うと、
それもちょっとシュールな世界です。
庶民にお薬を与えて「清く貧しくともハッピー!」状態にしておいて、
支配者層だけで快楽を貪る・・・なーんてこともできてしまいそうですし。
メンタルの薬は、当座の苦痛を押さえ、生活をしやすくし、薬がなくても問題ない生活に戻るための一時的な「補助輪」とか「杖」の役割を果たすものです。
副作用も依存性の問題もありますし、いわば緊急時の避難先でしかありません。
結局大事なのは、自分で自然に、幸せに作用する脳内物質を作り出せるようになること、なわけです。
それが自分の意思でできれば、万事解決なのだと思います。
そうした物質を意図的に出す方法は、適度な運動をする、美味しいものを食べる、楽しいことを考える等、いくつか発見されているようですね。
その辺の技術がもっと深く研究されて、一般的に広まればいいな、と思います。
例えば「しあわせの理由」の主人公の話が現実になり、
皆が幸せも不幸も、モノに頼らず、自由意志で選べるようになったら。
そのとき、世界はどんな風に変わるんでしょうね。