カモられたお話その1。
このブログで何回か、詐欺について注意を促す投稿をしてきましたが、何故かと言えば、私自身がカモられやすい体質だからです。(つまり自分への言い聞かせでもあります)
私はこれまで2度ほど、後から思えばですが「騙された」ことによって大金を失っています。
そのいずれも、心が浮足立っている時の出来事でした。
一度目は、会社に勤め始めてすぐの頃。
今日はちょっとそのお話をしようと思います。
なんでだったか、理由は忘れてしまったのですが、その日の私はとてもご機嫌でした。
多幸感に包まれて、いまにもスキップし出しそうな軽い足取りで街を歩いていたのを思い出します。
ふと見かけた小さな展示会に足を踏み入れたのも、そんなうきうきした気分の仕業だったのでした。
会場に入るなり、ちょっとイケメンだったかもしれないお兄さんがニコニコしながら近づいてきました。
「こんにちは~、〇〇〇がお好きなんですか」
世間話から始まって、お兄さんはそれぞれの絵を説明しながら会場を案内してくれます。
普段ならそういうのは、そっけなく「一人で見るんでいいです」と言って遠ざける私。
ですがその日はあいにく、世界中の誰に対してでも心からの笑顔を向けたいような気分でしたので、そのお兄さんの案内も愛想よく受け入れていたのでした。
最後まで見終わって、
「どれがお気に召しました?」
と聞かれました。
いくつか惹かれた絵を上げると、お兄さんは
「おお、お目が高い!」
とか何とか言いながら、またその絵についてのうんちくを一通り聞かせてくれた後、
「どうですか、お部屋に一つ」
ときたわけです。
「この絵は非常に素晴らしい手法で作られた複製品で、世界に一つしかないナンバリングが付きます」
なるほど、すごいんですね~~。
でもやっぱりお高いです(笑)
「皆さんそう思われるんですが、英会話に通ってもこのくらいはかかるんですよね。
そこへいくとこれは一生ものの財産になるので(以下略)」
なるほど~。
でも何より、置くところがありません(笑)
「皆さんそう言われるんですが、逆なんです。
絵をお持ちになると、いつかこの絵が似合うような部屋に住みたい、という思いが強くなられて、実際にそういうお部屋に引っ越される方が(以下略)」
はあ、そういうものなんですか(笑)
「絵を手に入れることで、人生の新しい可能性が開かれて(以下略)」
なるほど~(笑)
「分割なら一月これだけ、一日当たりコーヒー一杯分で(以下略)」
(以下略)
そしていつの間にか、私は絵を買うことになっていました。
お兄さんはテンションMAX。
それに対して、案内された別室で購入手続きを説明してくれたお姉さんは、驚いたような怒ったような顔をしていたのが印象的でした。
まあ後から思えば、あきれてたんでしょうね。
買った絵は、いわゆるコピー品で、正直ポスター程度の価値しかありません。
でも値段は〇十万。
よくもまあ、ボッタものです。
家に帰ってから、「買うべきではなかったな」と思いましたが、クーリングオフはしませんでした。
・騙されたと思いたくなかった
・「人生について勉強させてもらったお代」と受け止めた
・浮かれていた自分へのバツだと思った
とかとか、いろんな気持ちがあったような気がします。
結局その絵は、やっぱり自分の部屋には大きすぎて置いておけず、やがてほかの粗大ごみと一緒に捨てられていったのでした。
高い買い物ではありましたが、
「世の中には人を平気でだます人が、本当に存在する」
「自分は詐欺を見抜けるほど、賢くはなかった」
「自分は浮かれると、危ない」
ということを身に染みて学べだ代償としては、安いものだったかもしれません。
まあ、そのあとにまた新興宗教にひっかかったりしてるんですけどね(笑)
それらの経験から私が学んだことは、
「騙されないことは無理である」
ということです。
相手はプロです。こちらの心理も知り尽くして攻めてきます。
さらにそこに多少なりとも善意が含まれていたりしたら、もう無理。
できることなら騙されないほうが良い。
でも長い人生、騙されてしまうこともある。その覚悟は、いつも持っておいたほうがいい。
そしてもし騙されてしまったら、失った以上のものを、その経験から得るしかないかな、と思います。